Creator's News >> 川上元美[Motomi Kawakami]

川上元美プロフィール
  1940年 兵庫県に生まれる
1964年 東京芸術大学美術学部 卒業
1966年 同大学院美術研究科修士課程修了
1966〜69年 アンジェロ・マンジャロッティ建築事務所(ミラノ)勤務
1971年 川上デザインルーム設立、現在に至る

主な受賞
日本インテリア・デザイナー協会協会賞(1976)
アメリカ建築家協会(AIA)主催 インターナショナル・チェア・デザインコンペティション1席(1977)
ドイツ−IF賞(1981, 82, 99)
毎日デザイン賞(1991)
国井喜太郎産業工芸賞(1992)
土木学会・田中賞「鶴見つばさ橋」(1995)
横浜まちなみ景観賞(1996)
グッドデザイン賞金賞(1998) など
 
クリエーターのメッセージ


ひとと技術をつなぐデザイン

私はデザインとは、根無し草のように、時代と共に浮遊するものでは無く、個に発して、個を越えてある普遍に至りながらも、なお個が貫かれているものと解釈している。デザインは作品であることと製品であること、意匠性と機能性、”場”の規範をふまえた空間表現など、相反するものを究める力をも要求される。しかしその力こそが、人と道具、人と人との、また、人と場所や時間を快適へと導いてくれるものでもある。饒舌さや無意味なポーズのない、洗練された気品と質を持ち、人々を充分納得させるものであり、安らぎや感動を与えるものでありたい。またデザインはいつも、その時代の論理、感性、技術を礎にして、「もの」や「ものごと」が表明される、また経済社会背景に左右されることも事実である。私自身の短いなりの道のりの中で生み出したものも、いま21世紀に入り、大幅な軌道修正をせまられている。良かれと思って選んだ素材や考え方は、今日の新しい判断の場に出される。その一つは、地球の「成長の限界」が示されたことによるだろう。「もの」を循環させる、「もの」の終焉を見届けるまで使いこむ、あるいは使い回す、といった精神を尊重する社会を構築することこそが急務であると思う。これは今後も「もの」をデザインしつづける私自身への大課題でもあるのだ。かつて私の父母の世代までは、自然に対する負荷を少なくして、ものを上手に使い回す、使い尽くす生活文化が受け継がれていた。しかし、かつては「かつて」である。今日の国際化時代のデザインの抱えるテーマは、より深淵化、輻湊化していく。今後、私が取り込めることがあるなら、それは「かつて」を愛しみながら、様々なジャンルの専門間の交流をより強固なものにすることだろう。その結果は「もの」自身の性能や質の向上はもちろん、有形無形の関係の仕組みへと拡大し、公共のデザイン、資源のリサイクルやリユース、万人のためのユニバーサルなどの概念を根底にふまえたデザインが、ごくあたり前に進行するといった大きな実りが期待できる。こうした交流のスケールをさらに広げ、匠、国際問題、精神病理学、公共事業、経済、宇宙開発、最先端医療、食品などなど、予想もつかない異なるジャンルを結び付けるその”結び役”として役に立ちたいという夢は捨てないでおこうと思う。なぜなら、これこそが時代を見据えながら人間の理性と美意識をいかに発揮できるかというデザインの根源的テーマにゆきつくからである。

 川上元美(デザイナー)
活動紹介
 

<主な実績>
日常ワークとして、クラフト、プロダクト・デザイン、家具、空間、環境デザインなど、幅広いジャンルでのデザインワークを手がけている。また各地方産業や人材の育成にも従事。
東京芸術大学、多摩美術大学、客員教授


<展覧会>
「ハイブリッド、そして光と翳と」展
ギャラリー間(1987)

「インダストリアル・シンフォニー」展
クエストホール(1991 )

「マテリアル・メッセージ」展
オゾン・ギャラリー(2000)



<代表著作>
『雅到−川上元美の家具』 六耀社
『川上元美−ひとと技術をつなぐデザイン』 アムズ・アーツ・プレス

プラズマ・テレビ[PX-42、PX-50]
1998 (株)日本電気
 
雅致シリーズ
1986 (株) ヤマハ
 
パークマンション千鳥ケ淵[インテリア]
2003 三井不動産(株)
NT(エヌティー)
1976 (株) アルフレックス ジャパン
 
鶴見つばさ橋[首都高速道路湾岸線、横浜] 
1994 首都高速道路公団
TUNE (テューン)
1995 (株)カッシーナ・イクスシー
※旧名称:BLITZ (ブリッツ) 1981
 
システムキッチン・システムバス
2001 (株)東陶機器
CAST(キャスト・チェア)
2003 内田洋行(株)
   「Smile&Style」おすすめワンポイント
日本工業デザイン界の草分けでもあられる川上元美さんは、工業製品から家具・インテリア、そして橋梁などの大型公共建造物に至るまで、そのデザイン活動に精力的に影響発信されています。横浜つばさ橋のデザインなどは有名です。工業デザインという人間工学に近い道具・物のデザインから公共施設までと、そのデザイン界に与えた影響力は大きいと言えるでしょう。
 
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